複利論争について考える

明けましておめでとうございます🎍

今年もどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m

 

さて、約半月ぶりの更新となってしまいました。

年末繁忙で、時間が取れなかったことが主因です。

あと「家族にブログの存在を隠さねばならない」という制約が大きいんだよなぁ。

自宅(アパート)に帰ると、トイレぐらいしか執筆場所がない(笑)

寒くて、ヒートショック起こしそうになります。

普段は実家に立ち寄って執筆しているのですが、繁忙期だとその時間も取れないのです。。

 

ちなみに私は、バンド活動も秘密にしている(だって、言うと絶対見に来るし…)ので、コソコソとカラオケボックスで練習してます^^;

 

ということで、年末年始はブログに代わってTwitterで発信していました。

これなら、トイレでサクッと書けるしね!

 

やっぱりTwitterは、ブログより断然楽ですね。

短文ってこともあるのですが、何より「他人のツイートに便乗できる」のが大きい。

ブログのように、一から自分で文脈を作らなくて済むのです。

この楽さは、クセになりますね(笑)

 

ツイートする際には「摩擦係数を高める」ことを心がけています。

世論を逆なでするような、身も蓋もない文章です。

私のような弱小アカウントは、そうでもしないと読んでもらえないんですよね。

摩擦でエネルギーを起こさないと。

こんなことしてるから、家族に秘密にせざるを得なくなるのですが^^;

ということで、これからもちょくちょくツイートしていきますので、よろしければご覧になってください。

サイコパスの郵便屋さん」で検索すると、出てきます。

 

さて、前置きが長くなりました。

今日は、Twitterで盛んな「複利論争」について考えてみたいと思います。

ブログでも便乗かよ!と突っ込まないでね(笑)

複利論争とは

私も最初のいきさつは存じませんが、ざっと見る限り

インデックス投資、或いは株式投資のリターンは複利で増加するか否か」

が論点になっているようです。

これについては、既に結論が出ています。

#複利#複利効果#複利計算 は似て非なるもの!

少し話題になったようなので、複利についてプロ視点で解説したいと思う。

まずは複利

これはその名の通り、利息の話なので債券や預金等にしか使わない。配当落ちや分配落ちが起こる株式や投資信託において、この単語を使うのは明らかな誤り。

— ムササビ親分|資産運用の専門家 (@sasabies) 2023年1月6日

要するに、単なる「言葉の定義」の問題です。

株式投資に「複利的効果」はあるが、「複利」という用語そのものはそぐわないよね、ということです。

くだらね~

そう、複利論争そのものは実にくだらないものです。

私が興味深いと思うのは、論争そのものではなく、

なぜ今更、こんなくだらないことが炎上したのか?

という事です。

「炎上」には「エネルギー」が必要です。

そして「エネルギー」を発生させるには「摩擦」が必要です。

つまり「インデックス(株式)投資は、複利じゃねーぞ!」という最初のツイートが、それだけの「摩擦力」を持ち得た、という事です。

これは、なぜでしょうか。

投資家の自信喪失

考えられるのは、近年の株価下落・低迷により、投資家の自信が揺らいでいるのではないか、ということです。

「株式は長期的に、複利的にリターンを生み出す」という「確信」ですね。

もし株価が絶好調であった2021年に「株式投資複利ではない」ツイートがされていたら、どうだったか。

は?何バカなこと言ってんの?

こんな感じで、すーっと無視されたのではないでしょうか。

「過剰な反応」は「自信がない事」の裏返しです。

つまり、投資家は相場低迷によって「自信を喪失」しており、だからこそ前述のようなツイートが「摩擦力」を持ち得たのではないか。

私はそう考えます。

過去帰納的思考と演繹思考のバランス

では、なぜ投資家は自身喪失してしまったのでしょうか。

そもそも(長期)投資家の「自信の根拠」は何だったのか?を考えてみます。

最大の根拠は、やはりこれではないでしょうか(笑)

過去200年以上の間、株式は他のアセットを圧倒し、正に「複利」的に上昇してきました。

ー過去○○年は、こうだった。だから今後も、そうなる蓋然性が高いー

これは「過去帰納的な思考」と言えます。

もちろん、これは立派なエビデンスです。

しかし、これだけを根拠に、相場の荒波を乗り越えていくのは、少々心もとない気もしますね。

ー200年など、エビデンスとしては短すぎる。今後もそうなる保証はどこにもないー

このように批判されたとき、動揺せずに投資を続けられるでしょうか。

 

私は「過去帰納的思考」と「演繹的思考」のバランスが大切だと考えます。

演繹的思考とは、ものすごくザックリ言えば「ストーリー化」です。

ザックリ言い過ぎかしら^^;

A=B、かつB=Cならば、A=Cである。

このように、点を線で結んでいき、ストーリーとして組み上げていく思考です。

演繹的思考の欠点は、宗教化する恐れがある事です。

自分の組み上げたストーリーに、自ら縛られてしまう。

「現実」を「ストーリー」に合わせるべく、都合の良い事実ばかり集めてしまう(確証バイアス)。

逆に言えば、それだけ強力な力を持つ、ということです。

上手く使えば、相場の荒波を乗り越えるにあたり、心強い武器になり得るでしょう。

帰納的思考」とのバランスが大事ですね。

いや~、便利な言葉ですね。「バランスが大事」って。

定量的な事を何も言わずに「定量性が大事」と言えるのですから(笑)

複利的効果」を演繹的に考えてみる

ではここで、株式投資の「複利的効果」について演繹的に考えてみましょう。

株式投資の「複利的効果」が分かりにくいのは、価格変動があるからです。

「含み益には複利効果がない」という誤解も、この「価格変動」に捉われ過ぎていることに起因しているように思います。

ここは、シンプルに考えましょう。

自分自身が100%の株式を保有する、事業会社をイメージします。

事業を始めるにあたり、100万円を出資し、100株を受け取りました。

この時点で、株価は当然1万円ですよね。

株主は、残余財産分配請求権を持つのですから。

 

では、実際に事業を始めましょう。

純利益率は、20%とします。

100万円全てを事業に投ずれば、1年後には20万円の純利益が発生します。

この時点で、会社の純資産(株主資本)は、

資本金100万円+利益剰余金20万円=120万円 ですね。

必然的に、株価は1万2,000円になります。

120万円の請求権を、100株で除する、ということです。

さて、重要なのはここからです。

この純利益20万円を、どうするか。

当然、再投資しますよね。

事業を起こすような人であれば、当然「より会社を大きくしたい、儲けたい」と考えるでしょう。

上場会社なら、尚更です。

株主から「果てしなき成長への要求」をされるからです。

「ここまで成長したのだから、もう満足」とはなりません。

それが「資本主義」というものなのです。

このあたりは、また改めて記事にしますね。

さて、話を戻しましょう。

1年目の利益20万円を、利益率20パーセントの事業に再投資します。

当然、2年目の利益は、

120万円×0.2=24万円になります。

会社の純資産は、

120万円+24万円=144万円。

その請求権である株価は、1万4,400円になります。

株価の推移は、

1万円→1万2,000円→1万4,400円。

はい、ちゃんと「複利的に」上昇していますよね。

とてもシンプルです。

実際の株式投資でこれが見えにくいのは、前述のとおり「価格変動」があるからです。

・将来の利益成長率の見込み

・金融政策

・財政政策

・投資家の気分(笑)

こういった様々な変数によって、株価は激しく上下動します。

株価の大半が「将来への期待」で構成されている銘柄(テスラなど)は、特にそうでしょう。

しかし、株式投資の本質は「事業を保有する」事です。

「企業のオーナー」になる、という事です。

投資家が株式を「保有しているだけ」でも、事業会社は「再投資」を行っています。

そして、その成果であるEPSの積み重ねが、本質的な「株価」を構成していく。

必然的に、株価は「複利的に」上昇していく、ということです。

株価の「複利的成長」を妨げるもの

さて、私が言いたかったのは、実はここからです。

株価が「複利的成長」を妨げられるとしてら、どのような場合でしょうか。

はい、簡単ですね。

企業が再投資を行わず、現預金で保有し続けた時です。

前項の例で見てみましょう。

1年目の利益20万円を、そのまま現金で保有し続けたらどうでしょうか。

2年目の利益は、同然20万円のままです。

会社の純資産は

100万円→120万円→140万円

株価も

1万円→1万2,000円→1万4,000円

はい、見事にY=ax+b。一次関数的成長になっています。

株主資本利益率(ROE)は、1年目の20%から、2年目は16.6%に低下していますね(20万円÷120万円)。

このまま利益を再投資に回さず、現金のままで保有し続けると、ROEはどんどん低下します。

3年目 20万円(利益)÷140万円(株主資本)=14.3%

4年目 20万円÷160万円=12.5%

5年目 20万円÷180万円=11.1%

必然、投資家の利益率もROEと同じだけ逓減しますね。

ROEの低下、つまり投資家の利益率低下を防ぐためには、

・利益の再投資

・利益の処分(配当or自社株買い)

このいずれかを行わねばなりません。

利益をすべて配当として処分すれば、投資家自身の手で再投資することで「複利的効果」は守られます(税金は掛かりますが)。

企業が再投資を行わず、配当も行わず、現預金のままで保有し続ける。

すると、この企業の株を買った投資家は、意図せずして「投資したつもりが、その何割かは預金している」事になってしまいます(笑)

当然、投資家の利益率は低下しますよね。

「預金」しているんだから、当たり前です。

そんなバカな企業、あるのかよ!?

はい、こんな企業が大量に存在する市場があります。

そう、日本です。

www.dlri.co.jp

一次情報でなくて、すいませんね。だって、面倒なんだもん…

民間事業法人の現預金は、うなぎ上りで増えています。  

こうしてみると、コロナでの財政支出(M2増加)が如何に無駄であったかよく分かりますね。

企業の現預金増加=投資家の利益率低下にしかなってないじゃん!てことです。

MMT派がよく言う「政府支出」増加の結果が、これです。

 

日本企業はよく「現預金の豊富さ」「無借金経営」といった「財務の健全性」を誇ります。

しかし「財務の健全性」とは、逆に言えば「投資家の利益を犠牲にしている」事の裏返しでもあります。

私が日本株より米国株を選好している最大の理由が、ここにあります。

どれだけバリュエーション(PER)が割安でも、そもそもEPSが投資家の利益になってないじゃん!

むしろ「現預金積み上げ」という形で「投資家の利益率低下」の要因にさえなってるじゃん!

更に政府まで「内部留保(株主資本)を賃上げに」とか、わけわからん事言ってるじゃん!

ということです。

・余分な現預金は、すべて処分(配当or自社株買い)する

・可能な限り、借金を増やす(財務レバレッジを高める)

投資家として、日本企業にはこの2点を要求します。

「無借金経営」などという戯言は聞きたくありません。

 

正直、複利論争をするのであれば、こういう方向にも議論が進んで欲しかったです。

株式を保有する=事業を保有するという意識があれば、必然、そうなっていたはずだと思います。