郵便局員のFIRE戦略を考える~退職金編~

郵便局員の読者の皆さん(いるのか?)!!

FIRE目指してますか~!!??

は~い!!

はい、私は目指しています(笑)

あこがれますよね、自由な生活。

 

FIREには、当然ながら相応の資産が必要です。

そして、この資産を形成し、維持していくには知識が必要です。

今回からスタートする、シリーズ「郵便局員のFIRE戦略を考える」では、この「知識」を、みなさんと共有していければ、と考えています。

FIREを目指す郵便局員さんの一助になれば、幸いです。

今回は「退職金」編です。

それでは、スタート!

はじめに

まず、皆さんに質問です。

〇金持ちAさん

いや~配当金で月収100万円あるから、金が余ってしょうがないよ(笑)

〇貧乏サラリーマンBさん

給料の手取り月16万円しかないから、食べていくのがやっとです…

働かずして、月収100万円の不労所得があるAさん。

毎日必死で働いても、手取り月収16万円のBさん。

この二人のうち、公に「生活困窮世帯」として認定されるのはどちらでしょうか?

はい、おわかりですね。

答えは、金持ちAさんです。

金持ちAさんは「住民税非課税世帯」として、様々な公的補助の恩恵を受けることが出来ます。

国民健康保険料最大70%OFF

・大学無償化

・医療費(高額療養費)の減免

・保育料(0~2歳児)無償化

・様々な現金直接給付

他にも自治体によって、多くの補助が存在します。

「月収100万円の金持ちAさん」の生活を「手取り16万円の貧乏Bさん」が支える構図です(笑)

 

…理不尽な話ですよね。

しかし、これが社会のルールなのです。

 

「一億円の壁」問題をご存じでしょう。

あれを聞いた時、どう思われましたか?

・一億円なんて、自分には関係ない話だ。

・金持ちばっかり優遇しやがって、けしからん!

大抵の方は、こう思われたのではないでしょうか。

しかし、それでは自分の生活は何一つ変わりません。

へ~、分離課税って美味しい制度だな!収入の柱を「給与」から「配当」に移していこっかな!

こういう発想の人は、資産家になる素質があります。

制度の「善悪」を論じるのではなく、「自分に都合よく利用する」ということです。

 

前書きにも記した通り、この厳しい社会を有利に生き抜くには「知識」が必要です。

この世界の「ルール」に関する知識です。

・税金

・法律

社会保障制度

就業規則

・給与規定

これらのルールを知るか否かで、資産形成のスピードは大きく変わってきます。

今回は、郵政の「退職金制度」について考えていきましょう。

郵政の退職金制度のポイント

2015年4月1日から、郵政の退職金制度は「ポイント制」に移行しました。

・旧来の制度

 退職時の基本給月額に、勤続年数や退職事由に応じた係数を乗じて計算。

・ポイント制

 「勤続ポイント(1年ごとに一律付与)」と「役割等級ポイント(役職に応じて毎年  付与)」の総和に、勤続年数や退職事由に応じた係数を乗じて計算。

最大のポイントは「基本給が退職金計算の構成要素から外れた」ということです。

よ~し、退職直前に昇進=基本給上げて、退職金ゲットだぜ!

この技が封じられた、ということです(笑)

退職金を上げるためには、相応の期間、役職に就く必要があります。

ケーススタディで見てみましょう。

私は「年齢」「役職」「退職事由」「人事評価」に応じて、退職金額を算出するエクセルシートを自作しています(笑)

これを用いて、シミュレーションしてみましょう。

①「出世コース」

 35歳現場課長(地域基幹職4級)→40歳現場副部長(単マネ管理職1級)→42歳支社係長(地域基幹職4級)→44歳現場部長(単マネ管理職2級)→52歳単マネ局長(単マネ管理職3級)→59歳単マネ大規模局長(同4級)

②「窓際配達員コース」

35歳現場課長代理(地域基幹職3級)→そのまま定年(笑)

③「一般職コース(役職無し)」

一般職1級→そのまま定年

 

・いずれも、大卒22歳入社とします。

・49歳までは「自己都合退職」、50~59歳までは「高齢勧奨退職」を利用することとします。

・人事評価は、すべて標準(C評価)とします。

この条件で、それぞれの場合の退職金額をシミュレーションしてみました。

横軸が年齢、縦軸が退職金額です。

まず気付くのが「窓際」も「出世」も、50歳までは大して差がつかない事。

その代わり、管理職としての役割ポイントを積み重ねる50代には徐々に差が開いてきます。

つまり、50歳程度までのFIREを目指す場合、出世コースに乗る意義は薄いという事です。

そして、もう一つ特徴的なのが「一般職の不遇さ」です。

実は「窓際配達員」も「一般職」も、仕事内容に大差はありません。

前者は場合によって「班長」という名の「雑用係」をやる羽目になる程度でしょうか。

しかしそれとて、2倍近い退職金の差を正当化するには至りません。

「入口」ですべて決まってしまう、ということですね。

新卒で郵政を受けるときは、一般職は絶対に避けましょう。

初任給では「一般職」も「地域基幹職」も大差ありませんが、後々の昇給、退職金額に大きく響いてきます。

もし誤って「一般職」で入社してしまった場合。

郵政は「既卒3年目までは新卒扱い」というルールがあります。

これを利用して「新卒として」改めて応募することを強くお勧めします。

 

結論です。

①50歳程度までのFIREを目指す場合、出世する意義は低い。

②逆に言えば「出世コース」を選ぶならば、定年までしっかり働き、退職金を積み上げるべき。

③一般職は絶対に避ける。もし誤って入社してしまった場合、極力速く脱出する。

こんな感じですね。

早期勧奨退職制度(今回限り?の特例)が発表!

郵政の勧奨退職制度に、大きな動きがありました。

「高齢勧奨退職」制度は、通常50歳から対象となります。

これが今回「早期勧奨退職」と名を改め、対象年齢を45歳に引き下げたのです。

なんと、私もギリギリ対象に入っています。

月日が過ぎるのは、あっという間だね。

なんだか、しみじみしちゃいました。

しかし、感慨にふけってばかりではいられません!

なんせ、思ってもみなかった「果実」が目の前にぶら下げられたのです(笑)

早速、自作のエクセルシートに「係数」を打ち込み、シミュレーションしてみました。

前述の「窓際配達員コース」に「やる気があった三十代、高評価8回獲得」というオプションを加えて計算しています(笑)

ご覧の通り「45~49歳」の退職金額が「624万~773万円」増加しています。

「自己都合退職」が「勧奨」になり、乗数が大幅に上昇したからですね。

ちなみに今年度退職した場合、1,781万円貰えるということです。

グラフで見ると、より分かり易いですね。

しかし、ここで気になるのが税金です。

www.nta.go.jp

退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。

(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

退職金額から「退職控除」を差し引いた額の「半分」が、課税対象ですよ、ということですね。

退職控除って何やねん。

はいはい、次の通りです。

つまり、「勤続20年目までは年40万円、それ以上の勤続ついては年70万円が退職控除として積み上がりますよ」ということ。

私の場合、勤続23年目なので

(40万×20年)+(70万×3年)=1,010万

これが退職控除額です。

退職金額1,781万から退職控除1,010万を引くと、771万。

この半分の「385.5万円」が課税対象になりますよ、ということですね。

おなじみ、所得税率表です。

退職金は分離課税となりますので、給与所得等とは別に計算することになります。

385.5万×0.2ー427,500=34.35万

所得税(復興税除く)は、34万3,500円になります。

 

住民税(所得割)は一律10%なので、

課税所得385.5万×0.1=38.55万

住民税額は、38万5,500円です。

合計、72万9,000円。

これが、退職金1,781万円に対する税金になります。

一覧表はこちらです。

やはり、早期退職の税金は重いですね。

退職控除が2,060万円まで積み上がる60歳時には、税金はわずか11万円です。

もう少し待とうか…という気分になっちゃいますよね。

今回の税制大綱で議論になったのも、この「勤続20年目以降の控除額の大きさ」です。

私のように「退職を思いとどまる」人間が増え、人材の流動化が進まない、ということですね。

おまけ いろんなケースでシミュレーション

さて、せっかくの「退職金シミュレーション・シート」を使って、色々見てみましょう。

まずは、先ほどの「窓際配達員」と「エリート局長」を、早期退職制度(特例)の係数を用いてシミュレーションしてみます。

やはり45歳時点では、ほとんど差がないですね。

しかし、それ以降は徐々に差が開き、60歳時点では600万円以上の差がついています。

これをどう捉えるかは、各人の価値観次第です。

私は「たった600万では、やってらんない」と感じました。

 

さて、ではもう一つ。

興味深いシミュレーションをお見せしましょう。

これまでは、いずれも「大卒入社」で計算していました。

これを「高卒」、つまり「18歳入社」に変えるとどうなるでしょうか。

「高卒」かつ「窓際配達員」でシミュレーションです。

びっくりしたでしょう?笑

特筆すべきは、早期退職時の有利さです。

45歳時点で2,300万円を超えています。

さらに、52歳までは「大卒エリート局長」の金額をも上回っています。

これは、早期退職の乗数が「年功」「若さ」に大きく依存するからです。

18歳で入社し、45歳時点の「年功」が大きい高卒が圧倒的に有利な乗数になっています。

その代わり「若さ」が失われる50代以降は乗数が急激に低下。

最終的には「大卒」と大差ない水準に落ち着きます。

 

という事で結論。

郵便局員がFIREするには、高卒入社が圧倒的に有利だったということです。

何故、過去形なのか。

それは、現在では高卒は「一般職」でしか入社できないからです。

かつては「一般職」「地域基幹職」という区分がなかったのですね。

ということで「今更知ってどうなるの?」情報でした(笑)

かつて高卒で入社したあなた!

貴方は勝ち組ですよ。