やらかしてしまいました_| ̄|○
「標準報酬月額」の「随時改定」に引っかかってしまったのです。
これによって、毎月の社会保険料支払いが大幅増!
その額、年間で手取り残業代(※)約100時間分に相当します。
※額面の3割控除とする
つまり、年間100時間分の残業代が無給化したのと同じです。
私の不注意によるものなので、自業自得ではあります。
しかし、誰にでも起こりうることです。
このような悲劇が繰り返されないためにも、私の恥ずかしい「やらかし」を他山の石としていただければ幸いです。
今日は、そのお話です。
はじめに 社会保険料とは
社会保険料の「種類」と「保険料率」
社会保険料(狭義)には、次の三種類があります。
①厚生年金保険料
②健康保険料(共済短期掛金)
③介護保険料
給与明細の「控除項目」でおなじみの面面ですね(笑)
毎月、えらい金額が差っ引かれていますよね"(-""-)"
三つ合わせて、控除率は15~16%にも及びます。
しかし!
この金額で驚くのは、まだ早い。
ここに記載されている金額は、あくまで「自己負担分」です。
実際には「会社負担分」として、「自己負担分」のほぼ同額が控除されています。
つまり、社会保険料率は約30%にも及び、「会社」と「自分」が約15%ずつ負担しているわけです。
例えば、年収850万円のサラリーマンがいるとします。
この場合、会社が実際に支払っている金額は「年間約1,000万円」にも及ぶ、ということです。
この「年間約1,000万円」のうち、「会社負担の社会保険料」の約150万円が控除され、残った約850万円が「給与」として支給されています。
そこから更に「自己負担の社会保険料」と「各種税金」が控除され、ようやく「手取り」になるわけです。
官僚はホンっとうに上手いこと考えますよね~笑
会社負担分を「見えない化」することで、社会保険料負担を「より軽く」見せることが出来るのですから。
ちなみに保険料率は、郵政共済の場合、次のようになっています。
・厚生年金が 9.15%
・短期掛金(健康保険料)が 4.41%
・介護保険が 0.961%
ですね。
「郵政共済の場合」と書いたのは、
「健康保険料」と「介護保険料」は、「会社(健康保険組合)」や「地域」によって異なるからです。
当然、財政に余裕がある大企業の健康保険組合の方が、安くなります。
日本郵船の場合、健康保険料率は、わずか1.5%!
郵政の約3分の1ですね。
給料の手取りが、月1万数千円は違ってきます。
うらやましい限りですね!
保障内容も、会社(健康保険組合)によって違う
保険料が安いってことは、保障も薄いんじゃねぇの?
いえいえ、そんなことはありません。
次の図をご覧ください。
左側が「健康保険で定められた給付」
です。
素晴らしい「独自の特典」が盛りだくさんですね。
①「高額療養費」の付加給付。
1か月あたりの医療費が100万円掛かろうが、1,000万円掛かろうが、
自己負担は月額2万円ぽっきり、ということです(レセプト1件あたり)。
これだけ手厚い保障なら、民間医療保険は不要ですね。
もちろん、差額ベッド代、食費、先端医療にかかる費用等は適用外ですが。
②傷病手当金付加給付
・一般的な健康保険…標準報酬月額の3分の2(約66%)が支給される
・日本郵船健康保険…標準報酬月額の4分の3(約75%)が支給される
いや~手厚いですね!
病気・けがの際も安心でしょう。
③出産育児一時金等の付加給付
出産育児一時金、埋葬料ともに5万円の追加給付があります。
これを見ていると「大企業サラリーマン」の優位性をしみじみ感じますよね。
・給与自体が高い
・社会保険料も安いので、手取りも多い
・保障も手厚いので、民間医療保険不要
中小企業に下手に「総合職」として入るより、大企業の工場労働者として働いた方が恵まれているかもしれませんね。
社会保険料の決まり方
「標準報酬月額」に、前述の「保険料率」を乗じたものが「社会保険料」です。
これが毎月の給与から控除されるわけです。
さて、耳慣れない言葉が出てきましたね。
標準報酬月額
僕らの給与明細にも記載されていますよね。
標準報酬月額とは、従業員の給与を等級に分けて表したものです。
郵政共済の場合、下図の様になっています。
例えば、給与月額13万円以上13万8,000円未満の場合、
標準報酬月額は13万4,000円ですね。
これに、それぞれの保険料率を乗じたものが「社会保険料」として、給与から控除されるわけです。
給与月額と言っても、一体いつの給与なのよ?
はい、いい質問ですね。
〇標準報酬月額の定時改定
標準報酬月額は、毎年1回、必ず見直されます。
いわゆる「定時改定」ですね。
4~6月の給与(通勤手当も含む)の平均額を、先ほどのような「標準報酬月額表」に当てはめ、等級を決定するわけです。
「4~6月は、あまり残業しない方がいいよ」と言われたことがありませんか?
4~6月の平均給与額で1年間の社会保険料が決まるので、これを低く抑えるためには、極力残業代等を抑えたほうがいいよ!という事ですね。
私の失敗 「随時改定」に引っかかった!
さて、大変前置きが長くなりました。
ようやく「私のやらかし」のお話です。
私は毎年、社会保険料を極力抑えるため、4~6月の給与額を意図的に抑えてきました。
・残業を減らし、
・休日出勤をせず、
・せざるを得ない場合は、代休を申請する
これによって、給与額をコントロールしてきたわけです。
なんせ、標準報酬が1等級上がると、4千数百円もの保険料増ですからね。
死活問題なのです。
で、今年も完璧に給与をコントロールしたはずでした。
ひんしゅくを買いながらも代休を申請し、残業も減らし、昨年と同じ等級にコントロールしたはずだったのです。
ところが…
before
after
め、めちゃくちゃ上がっとるやんけ!怒
社会保険料、実に1万3,694円もの大幅増!!怒怒
な・ん・でやねん!!!怒怒怒
もはや、ポイ活どころではありません。
ポイ活で得られる利益など、年間せいぜい数万円。
「社会保険料年間約16万円増」の前には、焼け石に水もいいところです。
急いで4~6月期の給与明細を見直しました。
が、何度計算しても「昨年と同じ等級」に収まっています。
おかしい。
何かが、おかしい。
私は一体、何を見落としているのか?
手掛かりを求めて、給与明細を隅々まで見ていると…
あれ?
「10月分より」っておかしくね?
「定時改定」の場合、4~6月の給与を基に、7月に見直されるはずです。
なぜ、こんな中途半端な時期に?
…
……
………
もしかして。
「定時」があるってことは「随時」もあるってこと?
まっさかぁ。
早速「標準報酬月額 随時改定」でググってみると…
出てきました_| ̄|○
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-02.html
被保険者の報酬が、昇(降)給等の固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。これを随時改定といいます。
随時改定は、次の3つの条件を全て満たす場合に行います。
(1)昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。(※1)
(2)変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。(※2)
(3)3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。(※3)
上記(1)~(3)すべての要件を満たした場合、変更後の報酬を初めて受けた月から起算して4カ月目(例:4月に支払われる給与に変動があった場合、7月)の標準報酬月額から改定されます。
日本年金機構HPより引用
郵政では、定期昇給が7月に行われます。
言うまでもなく、社会保険料の会社負担分をケチるためです。
まあそこは、WINーWINなのでいいでしょう。
重要なのは「7月」に「固定的賃金の変動」があった、という事実です。
条件(1)が発動しました。
では、次に条件(2)を見てみましょう。
変動月からの3か月間、つまり「7~9月の平均給与から算出される標準報酬月額」と
「それまでの同月額」との間に「2等級以上の差が生じ」ているか否か。
…嫌な予感がします。
当該月は繁忙期を含んでおり、確か十数万円の残業代が発生していたはず。
ドキドキしながら計算してみると…
ぴんぽん!
大正解!!です_| ̄|○
2等級どころか、3等級の差が生じています。
これはもう、間違いありませんね。
私は、標準報酬月額の随時改定に引っかかってしまった、という訳です。
アホそのものですね。
みなさんも、私のような悲劇を繰り返さぬよう、ご用心ください。
・異動によって勤務地が変わり、通勤手当が増額した
・アパート暮らしになり、住居手当が発生した
・結婚して、扶養手当が発生した
このような場合も「固定的賃金の変動」になります。
つまり、当該月からの3か月は要注意、ということです。
実損額はいくらか
今回、月あたり1万3,694円の社会保険料増となりました。
しかし、これが丸々損失となるわけではありません。
計算してみましょう。
所得税、住民税の減額
社会保険料の負担金は、すべて税控除の対象です。
社会保険料控除、というやつですね。
あくまで概算ですが、具体的に計算してみます。
私の場合、今回の増額分は「所得税率20%」の部分に係っています。
①1万3,694円×20%=2,738円
所得税の減額により、月2,738円が社会保険料と相殺されるということです。
次に住民税です。
住民税の所得割は、税率一律10%。
②1万3,694円×10%=1,369円
この金額だけ、来年の住民税が減額される事になります。
所得税、住民税の減額分を合わせると、4,107円。
つまり、社会保険料増額分(月1万3,694円)のうち、4,107円が税金減で相殺されるということです。
ただし、税金は「ふるさと納税」を始め、節税手段が非常に豊富です。
対して社会保険料は、ほぼ対策の手段がありません。
全ての攻撃を無効化してきます。
よく「雑所得課税は最悪の税金」と言われますが、私は「社会保険料こそ最凶の税金」と言いたいですね。
いや~、かえすがえすも、日本の官僚は優秀です(嫌味)
厚生年金の受取額増加
厚生年金の掛け金が増えると、受取額も増加します。
厚生年金額(報酬比例額)の計算式は、次のとおりです。
平均標準報酬額×0.005769×被保険者期間の月数
今回は「標準報酬額」が9万円(3等級)上がりました。
計算してみると、519円になります。
・厚生年金掛金の増額(月) 51,240円ー43,005円=8,235円
・厚生年金受取の増額(月) 519円
つまり、掛け金を月8,235円多く払う代わりに、
月519円ずつ年金受取額が増えますよ~という事ですね。
額面ベースで「元を取る」には、約16年かかりますね。
ちなみに、健康保険・介護保険の増額分については丸々払い損となります。
郵政共済HPより引用
むしろ「払えば払うほど、サービスが悪化する」と言えますね(笑)
今回の「失敗」により、私は医療費の自己負担上限額が2万5,000円から5万円に増加してしまいました。
やってられませんね。
…という事で結論です。
今回の標準報酬月額3等級アップにより、
・月々の社会保険料支払いが、1万3,694円アップし、
・税金が、月々4,107円ダウン(タイムラグあり)し、
・医療費自己負担上限額が2万5,000円アップし、
・厚生年金の受給額が、月々519円アップした。
このようになりました。
うん、やっぱりやってらんないね_| ̄|○