それでも金利は上がらないと考える訳

こんばんは!

サイコパスの郵便屋さんです。

 

日銀が年2回公表する「金融システムレポート」が、本日公表されました。

興味深いのは、J-REITに関する考察です。

日本銀行 金融システムレポート(R4.4.21)より引用

上図は、海外投資ファンドから日本の不動産ファンド(J-REIT等)への投資残高の推移です。

金融危機時を除いて基本的に逓増しており、特にコロナショック後はアメリカを中心に大きく伸びている。

②直近の投資残高は約250億ドル(約3.2兆円)であり、J-REIT時価総額(22年3月末時点で16.6兆円)に比して相当の規模である。

③事実、REIT指数(下図)とも強い相関が認められる。

ことが分かりますね。

ここで気になるのは、アメリカの金利上昇によるJ-REITへの影響です。

日銀の試算によると、米金利(10年債利回り)1%上昇時に、J-REIT価格が2.5%程度押し下げられることが分かります。

なんと、お膝元の米国よりも金利感応度が高いとは^^;

まあ逆に言えば、金利低下時の押し上げ効果も大きいってことになります。

そして欧州(英国除く)の金利感応度の低さは特筆すべきですね。

早速、欧州リートのインデックスファンドを調べてみたのですが…

 

eMAXIS欧州リートインデックスの設定来チャートです。

う~ん、分配金込みでこれは微妙ですね^^;

そもそも、既に米10年債利回りは2.9%近くまで上げてますしね。

以前にも書きましたが、筆者は長期的に金利が上がり続けることはないと考えています。

理由は、世界的な少子高齢化の進展により、潜在成長率低下(労働投入の減少による)=中立金利低下が発生すると考えられるからです。

世界一の高齢国家である日本では、潜在成長率(中立金利)は恐らくマイナス(統計により異なる)ですよね。

インフレ率はアメリカより遥かに低い=実質金利が高いので、現在のゼロ金利でも「金融引き締め」に近いと言えます。

日銀が「粘り強く緩和を続ける」とアナウンスするのも、一定の正当性があるわけです。

 

で、その日本の高齢化の過程で何が起きたか。

まず、内需が死にましたよね。

毎年のように社会保険料が上がっていく、このような社会で消費が伸びるはずがありません。

結果として民間に過剰貯蓄が積み上がり、巨大な貿易黒字=資本収支赤字が発生した。

資本収支赤字とは、つまりアメリカの貯蓄不足のファイナンス米国債購入です。

これが90年代、00年代の日本です。

オックスフォードエコノミクス「人口動態から見る2100年までの対外純資産」より引用

上図は主要国の対外純資産対GDP比の推移及び予測です。

これまでは日本やドイツが、今後は中国、そしてインドがアメリカの貯蓄不足をファイナンスしていく、というイメージです。

中国がそんな都合良く動く訳ないじゃん!と言われるかもしれません。

しかし、アメリカの消費をあてにせずして、どこに生産物を売りますか?という話です。

独裁国家と言えど、経済の安定=民意の安定は必須でしょう。

また、中国は香港も含めれば世界最大の米国債保有国でもあります。

米ドルや米国債の暴落は避けたいと考えるのではないでしょうか。

そして結局の所、米国以外にこれほど魅力的な投資先が存在しないのも事実です。

我が国でもようやく米国株投資が盛んになってきましたが、この動きはどんどん広がるでしょう。

僕達が米国株で得た利益は、我が国の所得収支そして経常収支を押し上げます。

正にwin-winの関係ですね。

このように、S&P500という最強の集金マシンが世界から投資を集めるのです。

そう、結局はグローバリズムを完全に否定することなど不可能なのです。

アメリカの消費力、そして米国債米国株投資は世界経済に欠かせないピースとして完全に組み込まれている。

であれば、米ドルや米国債が暴落する=金利が果てしなく上昇するなど考えられない、という事です。

 

もちろん、これは筆者の定性的な「物語」に過ぎません。

最終的には、投資、いや人生の選択は全て「賭け」なのです。

後悔なきよう、自分が信じられる「物語」を元に投資をしていきましょう!