菜の花はテクノロジー

こんばんは!

サイコパスの郵便屋さんです。

 

いよいよ春本番ですね(^^♪

待ちに待った、菜の花が食べごろ(見ごろ?)を迎えています。

f:id:yuubinyasan:20220304212916p:plain

早速摘んで帰って、お浸しで頂きました。

すいません、我慢できなくて、あっという間に食べちゃったので写真は無しですm(__)m

やっぱり美味しいですね!

こんな御馳走が、道端で無料で摘み放題なんて信じられません。

しかもアク抜き不要で、ゆで時間も90秒ほどでOKの簡単調理。

これはやっぱり「野草」じゃなくて「野菜」ですね。

ほろ苦さと甘みの絶妙なバランスに、強烈な「テクノロジー」を感じざるを得ません。

野草というには、あまりに人間好みの味に抽象化され過ぎているのです。

テクノロジーは、自然物を人間の都合に応じて抽象化する、という一面を持つのですね。

ちなみに、筆者が最も強いテクロノジーを感じる野菜が「ほうれんそう」です。

f:id:yuubinyasan:20220330205508p:plain

絶妙な歯ざわり、食感、上品な青い香り。

人間の五感をくすぐる、計算され尽くされた抽象。

最強のハイテク野菜です。

野菜界のGoogleといえましょう。

筆者が空腹でどうしようもない時、頭に思い浮かぶのは「肉汁滴るステーキ」でも「こってり家系ラーメン」でもなく、ほうれんそうのお浸しです。

それぐらい大好きです(*^^)v

テクノロジーにより、野菜は劇的に美味しくなった

みなさん、火垂るの墓はご存じですよね?

 

作中、節子が雑炊を食べるのを嫌がるシーンが出てきますよね。

筆者は子供心に、

雑炊、美味しいのになんで嫌がるんやろ。我儘な娘やわ~。

なんて、思ってました(笑)

でも、野草を色々食べた経験を経て、節子の気持ちがしみじみ分かるようになりました。

 

神戸空襲が6月のことですから、当該シーンは初夏でしょう。

野菜の配給など微々たるものでしょうから、野草を混ぜていることと思われます。

しかし、多くの野草が美味しいのは春先なんですよね。

水ぶきなんかは初夏でも美味しいですが、大抵の野草は「えぐみ」や「アク」が強まります。

成長しきったギシギシなんかを刻んで入れていたのではないでしょうか。

匂い、味ともに、かなり厳しいものがあったでしょう。

また、野菜の味も現代とは全く異なります。

さつまいもなんか、その最たるものです。

最近のさつまいもは、スイートホテトか?と疑わしく思うほど甘くておいしいですよね。

筆者も「ドンキ」の100円焼き芋がお気に入りで、良く買ってます。

品種は「紅あずま」ですかね。

foodslink.jp

しかし、当時はこんなテクノロジーの塊のようなさつまいもではありません。

「多作であること」「やせた土地でも育つこと」を最優先にした、飼料用の芋です。

茨城1号、沖縄百号、護国芋なんかが代表ですね。

なかでも、茨城1号のでん粉は全く糖化しないため、甘みもなく、火を通すとビチャビチャに水っぽくなる「水いも」だったそうです。

www.jrt.gr.jp

戦争を経験された年配の方の中には、さつまいもの蒸す匂いを嗅いだだけで気分が悪くなる方もいるとか。

それは、僕らが食べるさつまいもとは全く別の「いも風の何か」だったのです。

出汁も取らず、塩だけで味を付けた、初夏のアクの強い野草と飼料用のさつまいもの雑炊。

それは、とてもみじめな味だったことでしょう。

美味しい作物を食べられなくなる日

現代においても、北朝鮮のトウモロコシは、日本のスイートコーンとは似ても似つかぬシロモノだとか。

僕らの生きる日本は、本当に恵まれていますよね。

10年ほど前に、筆者は東南アジアを旅行したことがあるのですが、南国フルーツでさえ、本場で食べるより日本のスーパーで買ったやつの方が遥かに美味しかったです。

日本には、最も品質が優れたものが輸出されている、ということです。

 

この三十年で、日本の経済は大きく失速しました。

直近では、円安も加速しています。

美味しい作物を、中国等に「買い負ける」ことも増えてきているようです。

テクノロジーの粋を集めて開発されたフルーツも、外国に勝手に栽培されてしまうことも多いとか。

僕らが美味しい作物を思う存分食べられる時は、そう長くないのかもしれません。

とても残念ですが。

願わくば、道端の「野草」を我先にと奪い合うような世の中が来なければいいですね。