株価下落の「犯人」はFIREである

いつも心にサイコパスを★

こんばんは、サイコパスの郵便屋さんです。

 

株価の下落、なかなか止まりませんね。

昨日のNY市場では、一時ダウが1,100ドル以上値下がりしました。

 

インフレ率の高止まり

→テーパリング&利上げの早期化

→割引率の上昇&利上げによる景気減速懸念。

 

この流れが、株価下落を引き起こしているのは周知の事実でしょう。

 

そもそもの根本である「インフレ率の上昇」を引き起こしている大きな要因の一つに

「賃金の上昇」が挙げられます。

 

jp.tradingeconomics.com

21年4月ごろから、急激な上昇が続いています。

コロナの影響で、前年の「発射台」が低いことを考慮しても、相当な上昇です。

 

アメリカの労働市場で、何が起きているのか。

今日は、これについて考えます。

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大量自主退職時代の幕開け

アメリカの労働市場で、大きな異変が起こっています。

udemy.benesse.co.jp

自主的に仕事を辞める人が急増しているのです。

その理由として、記事中では5つ挙げられています。

①長期的なリモートワークの影響

燃え尽き症候群

③売り手市場の影響

新型コロナウイルスへの不安

⑤労働者のキャリア観、価値観の変容

筆者が注目するのは、労働者のキャリア観、価値観の変容です。

記事では、次のように解説されています。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大は、労働者のキャリア観や価値観にも影響を与えました。新型コロナウイルスによって、これまで「あたり前」だったことや「普通」という固定概念が覆され、自分自身の生き方や家族とのあり方、仕事のもつ意味などについて真剣に向き合うきっかけとなり、自分の人生を見つめ直し、どう生きるか、本当にやりたい仕事は何なのかを考えるようになりました。

 

これってまさに、自分の気持ち優先=FIREの思想ですよね。

 

この記事では、新型コロナが原因として挙げられていますが、筆者の考えは違います。

新型コロナはきっかけにすぎません。

 

みんなで頑張って、みんなで豊かになる

 

これまでの労働観を支えてきた、この大きな物語の喪失です。

 

yuubinyasan.com

「物質的に豊かになること」の先に、幸せがないことに気付き始めた。

その結果、人々は「自分の気持ち」を素直に優先し始めている。

 

これが、筆者の考えです。

きっかけの一つは、失業保険の追加給付

アメリカでは、新型コロナでの失業者に向け、失業保険の追加給付を行ってきました。

1年半にわたり、週当たり300ドル~600ドルが追加給付されたのです。

 

すごくないですか?

月額約13万円~約27万円が、本来の保険額に追加されたのです。

 

これによって、アメリカの労働者は1年半にわたる疑似FIREを体験することになります。

 

ここで「他人との相対(競争)から離れ、自由に人生を謳歌したり、家族とゆっくり時間を過ごしたりすることの素晴らしさ」に気付いたのではないでしょうか。

 

失業保険の追加給付が切れ、賃金が上昇しているにもかかわらず、労働市場にはいまだに人が戻りません。

 

雇用統計における「失業率の下落」「雇用者数の伸び率低下」が同時進行していることが、それを示しています。

人的資本を活用したFIREが広がる

大量退職が発生している最大の業種がテック産業です。

今を時めく業界ですね。

 

コモディティ化した他業種と違い、「スキルの属人依存」が強い業種だと推察されます。

専門職に近いイメージですね。

 

こういった人々を中心に、FIREに当たって多額の金融資産を必ずしも必要としないことに気付きつつあるのではないでしょうか。

コロナによる、雇用の流動化、逼迫化、賃金上昇等を受けて。

 

つまり、人的資本によるFIREです。

 

労働市場がひっ迫し、その気になればすぐに職を得ることが出来る状態であれば、FIREをするにも多額の資産は必要ないのです。

 

労働者から資本家への、新たな階級闘争

バフェットはかつて、

「確かに階級闘争があるが、私の階級、すなわち富裕層が闘いをしかけており、しかも勝っているのだ」

こう述べました。

 

組合の組織率は低下し、労働のコモディティ化も相まって、労働者は賃金交渉力を失いました。

この意味において、確かに株主は階級闘争に勝利していたのです。

 

しかし、今起きていることは、労働者から株主への新たな形の階級闘争ではないでしょうか。

 

もちろん、本人たちにその自覚はないでしょう。

 

しかし現に、大量自主退職という武器を行使することで、労働者は賃金上昇という果実を手にしています。

 

その代償は我々がいままさに、株価下落という形で支払っているのです。

 

このムーブメントが継続するのであれば、株主は「労働分配率上昇」とそれに伴う「株主分配率(純利益率)低下」を受け入れざるを得ません。

 

我々は、どう対抗するか。

 

労賃の上昇は、長い目で見れば「進化圧の上昇」と捉えることが出来ます。

 

つまり、企業にとっての無人化へのインセンティブを上昇させる。

これによって、自動運転等の開発が早まる、ということです。

 

しかし、それで労働者が本格的に不要となれば、今度は金が回らなくなります。

労働者=消費者です。

 

ベーシックインカム等の議論が進むことになる。

 

そして、ベーシックインカムは貨幣への憧憬を決定的に破壊するでしょう。

評価経済社会の幕開けです。

 

評価経済社会は、ある意味貨幣経済社会より残酷です。

それは、スクールカーストの永続化であると筆者は考えています。

このあたりは、また改めてお話しさせていただきます。